研究者情報

概要

植物には「季節メーター」と呼ばれる内部的な仕組みがあり、過去数週間から数か月間の気温データから開花時期を決定しています。2種の多年生野生植物を2年間にわたり調査・比較したところ、3つの遺伝子が、それぞれ異なる期間の温度を記憶し、季節の変化を確実に予測していることが分かりました。

In order to prepare for cyclical changes in the environment, plants have a mechanism called a ``Season-Meter'' that predicts seasons and determines the timing of growth, flowering, dormancy, etc. based on environmental signals such as temperature over the past few weeks or months. However, it was not known until now how far back into the past this seasonal meter remembers environmental changes, or whether it functions in the same way across different plants and genes.

筑波⼤学⽣命環境系 Diana Mihaela Buzas 准教授、京都⼤学⽣態学研究センター ⼯藤 洋 教授、岐⾩⼤学応⽤⽣物科学部 ⼭根 京⼦ 准教授らの研究グループは、日本に自生する2種の野生の多年生アブラナ科植物であるワサビ(Eutrema japonicum)とハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri)を対象に、両種で保存される花成制御に関わる遺伝子の挙動と気候データの関係を2年間にわたって追跡し、これらの遺伝子を制御する季節メーターが過去の気温履歴をどれくらいさかのぼって記憶しているかを算出する手法を確立しました。これにより、同じ制御系にある3つの遺伝子が、それぞれ異なる温度記憶期間(数日間、数週間、約5か月)に基づいて制御されることを明らかにしました。さらに、この手法を用いて、モデル学習には使用していない別の年の気温データから予測した3遺伝子の挙動は、実際に観測された遺伝子の挙動と一致することを確認しました。

本研究結果は、気温データのみから遺伝子の挙動、さらにはそれに引き続く生理現象の予測が可能であることを示唆しています。今後、地球温暖化等により気候変動が進行する中、未知の気候パターンに対する野生植物や農作物の反応を予測・評価する上で大きく貢献すると期待されます。

画像
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本研究で対象としたワサビ(Eutrema japonicum、左)とハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri、右)

Source: https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-08-21